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桜の雲

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デボラ・クーンツ『規格外ホテル』



 ラスベガスの巨大カジノ・ホテルで働くラッキー・オトゥール・シリーズの第2弾。

 世界的な歓楽街であるはずのラスベガスになぜか、ミツバチの大群が飛び交ったり、サメの泳ぐ水槽があったりします。いずれも、この街でお金を使うお客に関わるものごと。庶民の目にはあほらしく映る奇天烈なお遊びに莫大なお金がかかっていて、大のおとなたちが真剣になっています。そういった退廃的な出来事の数々に呆れて、「金持ちの考えることはわからないな」と失笑するのも、このシリーズの醍醐味のひとつかと。

 これらの突拍子もないあれこれに的確かつ迅速に対応するのも、顧客関連係主任のラッキーの仕事です。彼女にとっては「日常」の奇想天外なものごとを処理していると、サメの水槽の中で死体が発見されました。殺されたのは賭けを取り仕切るオッズ屋の女性で、悪い噂の多い人物。ラッキーの友人に殺人の容疑がかかってしまったのもあって、彼女もこの事件にどっぷりと巻きこまれていきます。恋人との関係に問題が浮上したり、豪快な両親が勝手なことをしたり、ホテルのパブリック・スペースを全裸で歩きまわるお客がいたりと、ラッキーは既に公私両方で忙しくてたまらないのに。

 華やかな巨大カジノの裏をのぞける舞台設定、怜悧でアクティブな主人公、エキセントリックなレギュラー・キャラクターたち、ユーモアと皮肉にあふれた軽快な文章――すべてが大好きなシリーズです。長く続いてほしい。本国での刊行も、邦訳も。

デボラ・クーンツ『規格外ホテル』

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